第1回
「わたしの街の、レコード屋さん」
エッセイコンテスト
優秀作品発表!



第1回「わたしの街の、レコード屋さん」エッセイコンテストの審査が終了しました。
優秀作品に選ばれたのは下記の方々です。おめでとうございます。

また、今回ご応募いただきました皆様、誠にありがとうございました。


【賞】最優秀賞:1名 ミュージックギフトカード5万円分 優秀賞:5名 ミュージックギフトカード1万円分
(※賞品の発送は2月上旬に行います。到着までしばらくお待ち下さい。)

最優秀賞
なまがつお さん 40代 女性 (神奈川県川崎市)
【タイトル】 母のハミング

音楽には興味のなかった母、聴きたい歌があるが曲名も歌手名も思い出せないと言う。「ララララララーラ、ララーラっていうの」 

曲調を伝えようとしてくれるがわからない。母の記憶にあるのは、二十年ほど前に流行し、男性が二人で歌っていた「爽やかな青春ソング」だったということ。インターネットで調べたがわからず、近所のCD屋に行き、相談した。母から聞いた情報を話しつつ、ほぼ諦めていた。店員の男性が二十歳そこそこだったからだ。昔の歌がわかるはずがない、と。しかし、彼はメモを取ると一週間ほど待ってほしいと言ってくれた。
 数日後、彼から一枚のCDロムを渡された。
「親とかに聞いて、これかなって思ったのを集めてみたんですけど……」
 それは一曲目に入っていた。H2Oが歌う「思い出がいっぱい」。母は目をつぶり、嬉しそうに何度も何度も聴いていた。
後日、母と彼に礼を言いに行った。その日、母はCDを二枚買った、H2Oの曲が入ったものと、彼のお勧めを一枚。
以来、母はときどきその店でCDを買うようになった。今では実家を訪ねると必ず音楽が流れている。リズムに合わせてハミングし、家事をしている様子はいかにも楽しそうだ。 母はあの店員さんの人柄を通してCDを買い、趣味の領域を新たに広げたのだろう。人には心がある。心はインターネットでは得がたいものを与えてくれる
優秀賞
石岡 さん 40代 男性 (東京都世田谷区)
【タイトル】 LET IT BE!

小学生の頃 商店街の近くで育った私は そこが毎日の遊び場でした。昭和の匂いがプンプンする頃です。

親戚の駄菓子屋にお菓子をねだりに行った時は となりの小さなレコード屋も必ずのぞいていました。見るのはもっぱら入り口付近のマンガの主題歌で いわゆるEP盤というやつです。 その日は ついにレインボーマンのレコードが買えると鼻息荒く行った日だと記憶しています。店内から『LP〜♪ LP〜♪』と繰り返すLPレコードの宣伝歌がきこえてきました。 『なんかおかしな歌やな〜』とその時は思っただけだったんですが それから行くたびにその『LP〜♪ LP〜♪』という宣伝の歌がかかっているもんですから 覚えてしまい学校の行き帰りに自然と歌っていました。ある日行くとその宣伝の歌がかかりません。 ちょっと気になり私は、店主に『おっちゃん、もうLPの宣伝の歌かけへんの?なんで〜?』と聞くと店主は『LP?何の事?そんなんかけてへんでー』 『かけてたやん 毎日  LP〜 LP〜って』と私が口ずさむと店主は急に笑い出して『それは 宣伝の歌やないで〜 のりちゃん。ビートルズや。』と言って一枚のレコードを差し出しました。『ビートルズ?』それは 外人四人が写っていた黒いジャケット。それが初めての洋楽との出会い。後に初めて買ったLPレコードでした。  LET IT BE!
みゃーらん さん 30代 女性 (神奈川県川崎市)
【タイトル】 グッドチョイス

「うん、グッドチョイス!」それが『逆さおじさん』の口癖だった。実家近くの商店街にあるレコード屋さんには、名物おじさんがいる。逆さおじさんと子供たちに呼ばれている容姿を持つ。口の下にたっぷりと口ひげを蓄え、頭はスキンヘッド。銀縁の眼鏡を花にかけていてその下には笑うとなくなってしまう目がかろうじて存在する。絵本でよくある、逆さから見ても違う絵に見えるというような作品のように、おじさんの顔をさかさまに見ても正しいむきの人の顔に見えるという子どもならではの発想がいつの間にかあだ名になっていた。小さな町でレコード屋さんはそこしかない。だから私も子どもの頃から通い続けた。いつもおじさんのチョイスした曲が店には流れている。必ずしもその時のヒット曲とは限らないのが面白いところだ。初めてのお小遣いで買うレコードを胸に抱きしめて、どきどきしながらレジに向かった時も、おじさんは「うん、グッドチョイス」と言ってくれた。高校の時、失恋した自分を慰めるべくレコード屋に向うと、なんと、祭囃子が流れているではないか。なんなんだ、傷心の私にお構いなく祭囃子があっけらかんと流れている。もう、笑うしかなかった。店の前で涙を拭いている私におじさんは「いい、曲あるよ〜。寄っていきな。」といった。そして、私の頭のそっと手を置いてくれた。  
アンジェラ御馳走 さん 50代 女性 (福岡県筑後市 )
【タイトル】 デイトは立ち話

私、ヘビメタファン。五十一歳のオバサンがカミングアウトするにはちょいと勇気がいる。ましてや田舎で、超保守的な人達の中で暮らしていると、自分は一人ぼっちだと思えてくる。
そんな中、数年振りにCD屋へ行った。目当てのCDがなく、店員に訊くと、カウンターから出て来て、一緒に捜してくれた。大学生のアルバイト風だったが、話しながら、音楽が大好きだというのが伝わってくる。上京した一人息子と同じ年頃かな?親しみや湧いて来て、「ここでマーティのギターがマシンガンと化し、ダッダッダッ・・・。コンサートに来た者皆、ハートを打ち抜かれてしまう」と自分の歳も忘れて、ヘビメタがどんなに素晴らしいか布教していた。
彼はニコニコの笑顔で「実は僕、バンドやってます」と言う。この店は理解があって 勤務時間を都合してくれる、と。残念ながらポップス系だったけど、二人共ベース好きという事で、話が盛り上がった。三十分も経って、我に帰った私。同じ年頃でヘビメタ好きがいなくて、つい嬉しくなって、と長話を謝ると、「僕で良かったら、いつでも話し相手になりますよ」と言ってくれた。 ただの客へのリップサービス、と意地悪な声が聞こえてきそう。でも、いいじゃない?店に行けば若いハンサムな男の子と、立ち話デイトが出来るんだから。オバサン冥利に尽きるぜ!イェーイ。
三神純菜 さん 20代 女性 (兵庫県芦屋市)
【タイトル】 思い出の

「君、若いのにこんなに古い歌が好きなの!?」レコード屋さんの店主に驚かれた。 22歳ながら百恵ちゃんやテレサ・テンさんが大好きで、地元の数少ないレコード屋さんに高校の帰り道通うのが日課となっていた。 すぐに店主の芝さんと仲良くなり、昔の懐かしい曲や歌手の話題で盛り上がり、「まさか高校生の子と、こんな古い話が出来るなんて」 と、40代後半の芝さんに言われた。レコードプレーヤーを持っていなかったので、お店に行ってもジャケットを見て楽しむという迷惑な客だったにもかかわらず、芝さんは嫌な顔一つせず、いつも優しく迎えて下さった。 数週間が過ぎた頃、「実は今日で店を閉める事にしたんだ・・・。」 そう言われショックを受けている私に、 「君みたいに若い子がレコードに興味を持って通ってくれた事、とても嬉しかったよ。これ、俺が一番好きな歌なんだ。受け取って。」  そう言って芝さんは、イルカさんの“なごり雪”のレコードを私に下さった。「本当はもっとこの商売続けたかったんだけど、好きなだけじゃ食べていけない世の中だからね・・・。」  あの時の寂しそうな芝さんの顔が今でも忘れられない。あれから4年が過ぎ、初めてのお給料でレコードプレーヤーを買った。レコードも徐々に集めていき、そんな中でも一番のお気に入りのレコードは、もちろん・・・ “なごり雪” 私の大切な生涯忘れられない思い出の曲・・・。
kaza20jp さん 20代 女性 (神奈川県横浜市)
【タイトル】 おじいちゃん

お気に入りのレコード屋があります。駅前にある小さなレコード屋です。通学にバスを利用している私は、ほぼ毎日のようにこのレコード屋でバスの待ち時間をつぶしています。 私とこの小さなレコード屋との付き合いは、小学校の時にさかのぼります。当時はまだCDを買ったりはしていませんでしたが、母に連れられてよくレコード屋に顔を出していました。何よりも印象に残っているのは、ここで働いている店長です。 このレコード屋さんの店長は、私にとって第2のおじいちゃんのような存在です。小さい時からレコード屋に通っていた私に話し掛けてくれました。それは私が大学生になった今でも続いています。 年始、ノロウィルスが流行ったのを覚えていますか?レコード屋の店長もこのウイルスに掛かったそうです。お正月からレコード屋に通う私は、店長はお正月休みを取っていると思いましたが、2週間ほど経った日に久しぶりに店長に会いました。CDをレジに持っていき、会計を済まそうとする私に店長は「実はノロウィルスにかかっちゃって・・・」という話をしてくれました。何気ない会話でしたが、まったく赤の他人である私と店長が近状を教えあえる関係にふっと幸せを感じた瞬間でした。 現代人は周りとの距離があるとよく言われていますが、そんなことはないと思います。私は人の温かさをこのレコード屋で日々感じています。こんなレコード屋が大好きです。

※ペンネームがない場合は、名字を表記して作品を発表させて頂いております。

下記の当社フリーペーパーでも当選者の発表を致します。

『into』 3月号(08年2月15日配布) 『E.L.D.』 3月号 (08年3月15日配布) 『演歌案内人』 3月号(08年2月15日配布)


■応募作品は返却いたしません。応募作品の著作権は、主催社に帰属します
※ご応募の際にご記入いただいた個人情報は、賞品の送付および個人を特定しない統計資料の作成のみに使用させて頂きます。

<本件に関するお問い合わせ先>
株式会社ウイント 販売企画部 エッセイ募集担当 
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